社会人基礎力とは何かを説明しました。読者対象は、社会人基礎力について詳しく知りたい方です。意味や内容について分かりやすく説明していますので、会社関係者、学校関係者、社会人だけでなく学生にも学びが多いでしょう。
社会人基礎力とは?
あなたは「社会人基礎力ってなんだ?」という疑問を持たれたために、こちらにお起こしだと思います。経済産業省が提唱しているものですので、同省の言葉で説明すると、『職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力』となります。
つまり、「社会人として生きていくために必要な力」ということです。ところで、このような能力は社会で経験的に学ぶのが当たり前でした。しかし、世の中が大きく変化したため、学問として専門的に学ばないと正しい能力が身につかない時代になったのです。
そこで、社会人基礎力についてこれから詳しくご説明しますので、内容の理解に活用していただければ幸いです。
社会人基礎力の超重要ポイントを解説!
それでは、社会人基礎力について説明しましょう。
なぜ、社会人基礎力を学ぶのか?
なぜ、社会人基礎力を学ぶのでしょうか? それは、これまでと違い、自分で学ばないと身につかない時代になったからです。景気が良かったバブル期は、企業に若手を育てるだけの十分な余裕がありました。しかし、バブル景気崩壊とともにそうではなくなりました。
育成に掛けられる費用が少ない場合もありますが、育てることができる人材が不足してしまったのです。これは、景気後退でリストラ策を行った結果、従業員数を減らしたことが大きく、余裕がないギリギリの人数で会社を回しています。
つまり、育てるはずの先輩社員が、とてもじゃないけれど若手に構っていられません。そんな状況の中では、新入社員が仕事や社会人としての基礎を身につけるのは難しく、これまでのように自然と身につくということは、ほとんどなくなりました。
誰かが教えてくれるものでなくなったということは、自分で学ばないといけないということです。そこで、具体的に何を学ばなくてはいけないのかを、『社会人基礎力』という学問としてまとめたということなんですね。
社会人基礎力の構成とは?
では、社会人基礎力について具体的に見ていきましょう。まず知っていただきたいのが、社会人基礎力は複数の『能力』で構成されている点です。大きく分けると、以下のような3つの力になります。
- 『前に踏み出す力』
- 『考え抜く力』
- 『チームで働く力』
また、それぞれでさらに細分化されて、全体では12の能力要素になります(各能力要素については後述します)。
では、能力とはどのようなものでしょうか? 基本となる『3つの力』について『12の能力要素』とともにご紹介します。
社会人基礎力における3つの力とは?
社会人基礎力における3つの力について説明しましょう。なお、それぞれの詳細については専用ページで説明していますので、そちらをご覧ください。
1.前に踏み出す力
前に踏み出す力とは、「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力。」のことです。仕事をするうえで、指示待ちにならず、自ら行動できるようになることを目指します。実現のためには、『主体性』『働きかけ力』『実行力』の3要素が必要になります。
2.考え抜く力
考え抜く力とは、「疑問を持ち、考え抜く力。」のことです。課題に対して、論理的に考え解決方法を導き出すものです。ただし、決まった答えを導き出すだけでなく、自ら課題を見つけて解決策を考える、『自律的な思考力』の獲得を目指しています。
実現のためには、『課題発見力』『計画力』『創造力』の3要素が必要になります。
3.チームで働く力
チームで働く力とは、「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力。」のことです。いわゆるチームワークのことを指しています。グループ内の協調性だけでなく、見ず知らずの多様な人々とも繋がって、協力して働くことを目指しています。
実現のためには、『発信力』『傾聴力』『柔軟性』『状況把握力』『規律性』『ストレスコントロール力』の6要素が必要になります。
- 発信力…………………………自分の意見をわかりやすく伝える力。
- 傾聴力…………………………相手の意見を丁寧に聴く力。
- 柔軟性…………………………意見の違いや立場の違いを理解する力。
- 状況把握力……………………自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力。
- 規律性…………………………社会のルールや人との約束を守る力。
- ストレスコントロール力……ストレスの発生源に対応する力。
社会人基礎力の階層とは?
社会人基礎力の3つの能力と、それぞれの要素を階層で表すと以下のようになります。
- 社会人基礎力(3能力)
- 前に踏み出す力(3要素)
- 主体性
- 働きかけ力
- 実行力
- 考え抜く力(3要素)
- 課題発見力
- 計画力
- 創造力
- チームで働く力(6要素)
- 発信力
- 傾聴力
- 柔軟性
- 状況把握力
- 規律性
- ストレスコントロール力
- 前に踏み出す力(3要素)
このように階層で表すと、社会人基礎力が3能力に分割され、さらに3能力が12の要素に分かれることが把握しやすくなると思います。別の見方をすれば、12の要素すべてがそろわないと社会人基礎力は形成されないことが、お分かりいただけるでしょう。
社会人基礎力、各能力要素の関連性とは?
各能力要素をそれぞれご紹介しましたので、次は社会人基礎力の各能力要素について関連性を考えてみましょう。社会に出るということは、実際には仕事をするということになります。つまり、各能力要素を発揮しないと、仕事をこなせないということなんですね。
前に踏み出す力が必要になる場面とは?
仕事は、「課題とその解決」であると考えられます。したがって、課題を見つけたり担当したりしたときに、自ら積極的に『前に踏み出す力』が必要になります。逃げてしまったのでは何の解決もできないからです。つまり、仕事が始まらないわけです。
考え抜く力が必要になる場面とは?
また、仕事が始まっても『考え抜く力』がなければ、解決策を導き出せません。これでは、仕事が中途半端になってしまいます。さらに、仕事はチームで行うものです。一人でできることは限られるので、数人が集まって仕事をすることが多いでしょう。
チームで働く力が必要になる場面とは?
チームということは、互いに協力しなくてはいけないので、『チームで働く力』が必要になるわけです。このように、仕事をするうえで『前に踏み出す力』、『考え抜く力』、『チームで働く力』という3つの力は欠かせないわけですね。
コミュニケーション能力が必要ではないか?
すでにお気づきかもしれませんが、社会人基礎力にはコミュニケーション能力が必要であることが、お分かりいただけると思います。具体的には、主体性・働きかけ力・発信力・傾聴力などで、コミュニケーション能力が必要です。
これらは、コミュニケーションをとらないと成り立たない力であることが、分かりますよね。つまり、社会人基礎力では明記されてはいないものの、コミュニケーション能力が重要であることが読み取れるわけです。
したがって、社会人基礎力を身につけるためには、コミュニケーション能力を高める訓練も、併せて行う必要があるということです。むしろ、最初にコミュニケーションの取り方から学んだほうが、良いのかもしれませんね。
まとめ:社会人基礎力は、円滑な活動のために欠かせない!
いかがでしたか?
社会人基礎力は『前に踏み出す力』、『考え抜く力』、『チームで働く力』という3つの力で構成され、さらに12の能力要素に細分化されていました。これらを学ぶことで、社会人としての基礎力が身につくことが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
この3つの力で大事なポイントは、仕事をするうえで必要であるということです。仕事はお客さんが抱える課題を解決することですので、社会人基礎力を身につけるということは、自分だけでなく、他者のためにもなるということなんです。
したがって、円滑な活動のために欠かせないのが社会人基礎力であり、そしてそれが本質であるといえるでしょう。
以上、社会人基礎力について簡単にご紹介しました。
ぜひ各能力要素のページに目を通していただき、理解を深めていただければ幸いです。