社会人基礎力とコミュニケーション能力の関係について説明します。読者対象は、社会人基礎力とコミュニケーション能力がどのように関係するのかを知りたい方です。具体的に、能力要素を挙げて解説しています。
なぜ社会人基礎力は、コミュニケーション能力が重要なのか?
「社会人基礎力とコミュニケーション能力は関係があるのだろうか?」と考えて、あなたはこのページをご覧になられていると思います。確かに、社会人と言えばコミュニケーションが取れないと仕事になりませんよね。つまり、基礎力の一つと言えるわけです。
ところで、社会人基礎力ではコミュニケーションについて明言されていませんが、3つの力のうち「前に踏み出す力」と「チームで働く力」が、コミュニケーション能力と大いに関係しています。つまり、無関係どころか切り離せない関係なのです。
そこで、社会人基礎力を形成する各能力要素のうち、どれがコミュニケーション能力と関係するのか詳しくお話ししていきましょう。
コミュニケーション能力に関係する、5つの能力要素!
それでは、コミュニケーション能力に関係する、社会人基礎力の能力要素をご紹介します。関係する要素は5つありますので、最後までしっかり目を通してください。
働きかけ力(前に踏み出す力)
働きかけ力は、他者に対して協力を要請したり奮起を促す能力のことです。したがって、相手を気持ちよく動かすためのコミュニケーションが必要になります。依頼するわけですから、もちろんそれなりの言葉の選び方や話の仕方が重要です。
「手伝ってくれ」と言い放ったのでは誰も手を貸さないでしょう。「一人では大変なので、手伝ってもらえませんか?」と丁寧に伝えれば、協力が得られる可能性は高くなります。極端な例ではありますが、口のきき方に気を付けるのは基本ではないでしょうか。
仕事は複数人が協力してこなすものですので、うまく他者を動かせるようなコミュニケーション能力を持つことは、社会人基礎力の『働きかけ力』において重要だといえます。
発信力(チームで働く力)
発信力とは、自分の意見を相手に対して分かりやすく伝える力のことです。したがって、受け手の状況や立場に合わせて言葉を選んだり伝え方を工夫したりと、コミュニケーション能力がかなり問われることになります。
例えば、相手が内容について詳しい方であれば、専門用語をバンバン使って説明した方が伝わりやすいでしょう。一方で、相手が内容について詳しくない方であれば、極力専門用語を使わないでたとえ話を交えながら説明する方が伝わりやすいでしょう。
このように、単に話すのではなくいかにして分かりやすく伝えるかが問われますので、社会人基礎力の『発信力』においては、コミュニケーション能力が重要になります。
傾聴力(チームで働く力)
傾聴力とは、相手の意見を丁寧に聴く力のことです。しかし、単に聞くだけでなく相手が話す内容を理解するところまでできないと、傾聴とは言えません。ところで、人の話を聞くということが、コミュニケーションとどのように関係するのでしょうか?
コミュニケーションというと、話すことだと捉える方が少なくありませんが、実際には「自分がしゃべる」ことと「相手の話を聞く」ことがセットになっています。つまり、言葉のキャッチボールになっていないといけないのです。
話が往復するためには、自分が話した内容を相手に理解してもらうだけでなく、相手の話を理解して答える必要があります。傾聴力は、コミュニケーション能力が身についていないと発揮できない能力であることが分かります。
したがって、社会人基礎力の『傾聴力』は『発信力』と合わせて考えるべきでしょう。
柔軟性(チームで働く力)
柔軟性とは、意見の違いや立場の違いを理解する力のことです。一言でいうと、相手を尊重することだといえるでしょう。では、柔軟性とコミュニケーションの間には、どのような関係があるのでしょうか?
コミュニケーションは相手とのやり取りですので、意思疎通であることが分かります。相手があるということは、お互いに気持ちの良いやり取りを行わないと感情的になり、まともな会話にならないでしょう。最悪の場合、けんかに発展するかもしれません。
気持ちよく意思疎通するには、柔軟性を発揮してお互いを理解する必要があるわけです。自分の意見と正反対のことを言われても反発するのではなく、それを興味深い考え方として受け入れらるような能力というか度量、つまり柔軟性が求められるのではないでしょうか。
このように、社会人基礎力の『柔軟性』は、円滑なコミュニケーションを図る重要な能力だといえるでしょう。
状況把握力(チームで働く力)
状況把握力とは、自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力で、文字通り「状況を把握する力」のことです。一見すると、コミュニケーション能力とは全く関係が無いように感じるかもしれませんが、実は非常に強い関係があります。
繰り返しますが、コミュニケーションとは相手との意思疎通ですから、相手がどのような状況にあるのかを把握しければ円滑なやり取りができません。別の見方をすると、相手に対する心遣いという言い方もできるでしょう。
例えば、会議中など本来電話に出られない状況であるのに、無理に対応してくれているような場合であれば、手短に用件を済ませるべきです。また、相手の心が動揺しているときに重要な話をすべきではないでしょう。まともなやり取りが成立しない可能性があるからです。
このように、相手の状況を把握したうえで意思疎通を図ることが基本です。したがって、社会人基礎力の『状況把握力』は、円滑なコミュニケーションのために欠かせない能力であるといえるでしょう。
まとめ
ここまで社会人基礎力とコミュニケーション能力の関係について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
社会人基礎力とコミュニケーション能力の間には、切っても切れない深い関係があることがお分かりいただけたと思います。社会人基礎力の定義ではコミュニケーションについて明言されていないものの、「前に踏み出す力」と「チームで働く力」が関係していました。
働きかけ力はコミュニケーション能力が無いと発揮できませんし、発信力・傾聴力・柔軟性・状況把握力の4能力は、コミュニケーション能力そのものだといえるでしょう。つまり、社会人基礎力ではコミュニケーション能力を極めて重視しているのです。
仕事はチームで行いますから、ほぼすべての場面においてコミュニケーション能力が問われます。したがって、社会人基礎力は相手に対する気遣いによって、円滑な人間関係を築くことが求められることを知っておくべきでしょう。
以上、社会人基礎力とコミュニケーション能力の関係について説明しました。